鈴木隆二×坪井健太郎 スペシャル講習会「世界で勝つための戦術論と戦術指導」


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12月26日、ボンフィンフットボールパーク落合南長崎にて、坪井健太郎、鈴木隆二氏による指導者講習会が開催されました。

『世界で勝つための戦術論と戦術指導』と題し、「戦術」というキーワードをテーマに講習会が進んで行きます。

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講習会の内容としてはアナウンスしたように第1部が座学、第2部が実技という流れで行なわれました。

まずは、坪井健太郎の講義から始まります。

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まずは、「サッカーとは?」という定義付けから確認していきます。

サッカーというのは、出れる選手、出られない選手、そして監督、会長、対戦する相手チーム、さらにそのチームを応援するサポーターなど様々な要素が絡み合う社会的活動が含まれていると坪井健太郎は言及します。

その中でも“不確定要素”という事柄が重要であると指摘しています。

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次に、「戦術」とはどういうものなのかを説明していきます。

4−3−3などのシステム論は戦術ではなく、1つの道具であり、「戦術」とは「状況を解決する行為」であると述べています。

このようにスペインでのコーチングスクールでは、1つ1つの言葉、アクションを具体的に定義付けし、整理して体系化しています。

日本では、同じ言葉は存在しますが、各々が考えるその定義は曖昧で、イメージでしかありません。

この部分だけでも、スペインと日本とでは大きく異なることが分かります。

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次に、「戦術的アクションのプロセス」を説明します。

戦術的アクション=起こった問題・状況を解決する行動であり、そこに伴う方法論をチームで共有化するために、共通の“言葉”が存在すると言及しています。例を挙げるとすれば、ワン・ツーやオーバーラップがそれにあたります。

これを見ても1つの行為に対して、順序立てて定義付けされていることが分かります。

その後、サッカーには大きく分けて「攻撃」、「攻撃から守備への切り替え」、「守備」、「守備から攻撃への切り替え」と4つの局面が存在すると述べています。

それを踏まえた上で、守備の戦術コンセプト(相手を遅らせる、カバーリングetc.)、攻撃の戦術コンセプト(カウンターアタック、モビリティーetc.)を説明しました。

その中でも攻撃のプロセスに着目して、攻撃がどのように行なわれるのかを明らかにしていきました。

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次に、具体的な「戦術的アクション(=状況を解決する行為)」の例を日本対オランダの試合から見ていきます。

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まず、オランダにどういった問題が生じていたのかを説明し、次にそれに対してどういった戦術的行為を行なったのかを説明していきます。

オランダがDFラインからビルドアップができないことに対して、どう解決したのか。

キーとなったのはボランチのデ・ヨングと彼の動きに対する周りの選手の動きでした。

その後、オランダは前半のうちに問題を解決し、先制ゴールを生み出します。

非常に分かりやすい戦術的行為の例でした。

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続けて日本対ベルギーの試合も取り上げ、日本側のプレーを分析していきました。

日本が失点したシーンでは、GK、守備のミスもありましたが、その前にどういった問題が起きていたのか、そして失点した後、日本には戦術的行為がなされていたのかについてみていきました

今回の参加者のほとんどが観たであろう試合を取り上げることで、今までの視点、考え方を効率よくブラッシュアップすることができたはずです。

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続いて、鈴木隆二氏の講義に入っていきます。

今年の夏に行なわれた「サッカーのためのフットサル講習会」に引き続き、現役フットサルプレイヤーであり、現在スペインにて指導にも携わる鈴木氏が見た、サッカーに有効なフットサルの要素を取り上げてくれました。

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まず、フットサルにおいて、世界のトップレベルのチームが採用する『クワトロ・ゼロ』というコンセプトを紹介し、それがサッカーにおいてどう活きるのか。

サッカーとフットサルはピッチの広さが違い、スペースの大きさも違います。

ですから、そのスペースを有効に使った数的優位な状況がサッカーでは多く生じ、一方でフットサルでは数的同数の局面が多くなります。

このようにサッカーとフットサルの違いにも触れながら、分かりやすく説明してくれました。

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その後、『クワトロ・ゼロ』は日本人に合うと鈴木氏は指摘します。

彼はどのようにこの『クワトロ・ゼロ』に出会い、どうやって向き合って、身につけたのか。

ある程度のレベルまで『クワトロ・ゼロ』を身につけた彼は、スペインでのトライアウトを受け、どこにいっても合格したと述べます。

彼自身の経験を振り返りながら、説明してくれました。

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続けて、『クワトロ・ゼロ』がどのような戦術なのかを明らかにしていきます。

そこで、キーワードとして出てくるのか“Entre Lineas(エントレ・リネアス)”という言葉です。

スペイン語で「ラインの間」という意味で、DFの縦と横のライン間に侵入することだと定義づけています。

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続いて、『クワトロ・ゼロ』を実際にどのように行なうのか明らかにしていきます。

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図を描きながら説明してくれました。

ボールを持っていない方の選手が「エントレ・リネアス」をすることで、真ん中、同サイド、そして「エントレ・リネアス」をした選手が空けたスペースを埋めることでできる横パスの3つのパスコースを作ります。

フットサルにおいて最初はスペースも限られ、数的同数の状態で始まります。その中で数的優位を生み出すために自らアクションを起こし、人とボールを動かしながら前進していきます。

これはサッカーとは異なる部分ですが、一方でゴール前などは相手も密集し、数的同数かつスペースも限られた状態です。

そういったサッカーの局面において、この『クワトロ・ゼロ』のコンセプトが有効になってくるのです。

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次に簡単なアニメーションでイメージを具体化していきます。

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続いて実際のフットサルの試合を観て、選手やボールが実際にどのように動くのかを確認していきます。

フットサルの試合の映像では、選手が何度も動き直しているのが、多く見受けられました。

これもサッカーにおいて必要な要素であると言えます。

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そして、サッカーの試合を観て、実際にサッカーにおいても『クワトロ・ゼロ』の動き、コンセプトが存在していることを再確認します。

この映像では、FCバルセロナのシャビとブスケツの動きに着目しながら観ていきました。

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これは今年に行なわれたバイエルン・ミュンヘンとチェルシーのスーパーカップの模様です。

サイドバックのアラバとリベリーの関係性について言及していきました。

こういった世界トップレベルの試合においても、『クワトロ・ゼロ』のコンセプトは存在しています。

これで90分に渡る両者による座学が終了し、質疑応答を経て、ピッチでの実技の方に移っていきます。

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実技では、まず鈴木氏が座学で落とし込んだ『クワトロ・ゼロ』の重要な動き、「エントレ・リネアス」の要素を含んだ2のセッションを行ないました。

トレーニングを開始した時点では、参加者の方々の多くがなかなか上手く動くことはできませんでしたが、少しずつコンセプトを理解し、ボールを繋ぐことができました。

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続いて、坪井健太郎が3対3のゲーム形式のトレーニングを行ないました。

このトレーニングも同様に、座学で学んだ「戦術的アクション」をゲームの中でどのように行なっていくのかについて順序立てて取り組みました。

上手くいかなかった時の問題を明らかにし、それについてどのように解決するのか。

少しずつ参加者の方々もどのように解決するのかを理解し、ゴールを決められるようになっていきました。

雨が降ったり止んだりで、ピッチが滑る中のトレーニングでしたが、60分の実技はあっという間に終わり、非常に中身の濃いものとなりました。

今回、講習会の写真を用いながら簡単に振り返らせていただきましたが、実際はさらに内容の詰まったものとなりました。

参加者の方々にも新たな視点や多くの刺激を感じていただけたようで、講習会後も参加者の方々同士で意見を交換したり、両講師に質問したりと最後まで活気のある講習会となりました。

これも平日かつ年の瀬でお忙しい中、足を運んで下さった多くの方々のおかげです。

本当にありがとうございました。

また、お申込みを頂きながらお断りせざるをえなかった方、誠に申し訳ありませんでした。

そして、お忙しい中、入念な準備をしてくださった講師の両氏には心から感謝致します。

今後も㈱アレナトーレでは、様々な視点で、日本サッカーをより良くするための活動を続けていきたいと思います。

これからも引き続きよろしくお願い致します。